世の中と私

グチです。でも世間のおかしさをいちいちいうと世間にいられないでしょ。

吉本隆明「大状況論」〜「支持政党なし」という最大の政治勢力と組合(生協漁協のような)

 

 

先日吉本隆明の「大状況論」を読んだ。1990年頃の本だ。

これを読んで吉本が右からも左からも嫌われていたのがわかった。
当然吉本も嫌いだったのだが。特に共産党社会党のような左がだ。

この本の中で吉本は大衆とともにあるのならば(大衆というのが吉本独特の言葉使いだ)消費税導入には賛成すべきだったし国鉄民営化にも賛成するのが筋だと書いている。

吉本はサントリーが水を売り出したことに注目している。吉本の思考のアプロートは私がこれから書くようなことではない。それは断っておく。
日本の水道は素晴らしくて水道の水を普通に飲める。これはすばらしいことなのだ。そういう水をわざざわ商品にして売るような事態が発生していることが論点になるのだと吉本は考えているのだ。

私の経験でもこういうことがあった。昔ソニーウォークマンを発売した。話がそれるがあれは今の日本でも参考にすべき発明だった。というのはウォークマンを作るための技術はすでに全部揃っていたからだ。ブレイクスルーはああいうふうにして起きるものだ。
話を戻す。私は本当はソニーウォークマンが欲しかったのだが高価で買えなかった。だからアイワのヘッドフォンステレオを買った。ウォークマンに比べるとちょっとゴツくてデザインもスタイリッシュだとはいえなかった。でもそれはウォークマンに比べればという話だ。私が買ったアイワのヘッドフォンステレオは本当によくできていて長年愛用していた。音質もそうとうよかった。
私が言いたいのはこういう消費のあり方をどういうふうに課税で補足していくのかという話だ。

当然ソニーウォークマンにより大きな課税をするのが筋だ。私が買ったアイワのヘッドフォンステレオも課税するのが筋だがソニーウォークマンよりは少ない課税になるのがまたこれも筋なのだ。

服もそうだ。私は(自分でいうのも口はばったいが)長年努力してきたのでこれからはちょっとは贅沢をさせてもらう。だが服だったある時からの日本でも比較的安価でオシャレな服もあるし当然高価で良い服もある。

ある時期から日本でこういう事態が発生している。こういうコト(事態状況)を租税で対応するためには消費税という税のありかたがふさわしかったのだ。

また国鉄民営化にも賛成すべきだったと書いている。このことについてはドラッカーの考えを援用する。ドラッカーは公共の仕事に民間が競合するようになったら公共は引かなければならないと書いている。私はこの意味は正直わからなかった。ずいぶん後になってこれは公共の事業は赤字にしかならないものに限るという意味だと思った。そういう事業が黒字になるようになったら公共(国や地方自治体)は民間の事業者に仕事を譲るべきだという意味なのだ。

吉本はこういう話の流れでは考えていないのだが。

では国鉄に競合する民間の企業はどこだったのかだ。トラック業者とバス業者だ。というか一般道路と高速道路だった。いわゆる国道も高速道路も国鉄が民営化する時にはそうとう出来上がっていた。そうなると公共である国鉄は一般道路と高速道路を使う民間の事業(ドラック業者とバス業者)と競合してしまう。こういう事態になっていた以上は国鉄は引くのが筋だったのだ。

これは余談になるがいよいよ日本の流通が限界に近づいている。この事態をなんとかするには鉄道網を使うのが筋だと私は考えている。後は船だ。道路が厳しいのなら鉄道と川や海を使うのが筋なのだろう。もちろんドローンもある。


日本はアマリカに完敗したとも書いている。その意味はアメリカは日本の状況と問題的とそのソリューションを指摘できるのに日本はアメリカに対してそういうことがまったくできないからだ。

その話の中で大店法もでてくる。私は商店街で育ったのだがウチは商店ではなかった。そういうことを踏まえて読んでほしいのだが。多きな店ができそうになると商店街の皆さんが反対してできなかった。それは構わない。そういう権利があるのだから。だけどそういうことをするのなら使いやい店を皆さんで話し合って出して欲しかった。そうしたらその店に行くからだ。でもそういうことはなかった。
私のこういう個人的な経験から私は大店法には懐疑的だった。


今私は3つのことを書いた。今の日本の最大の政治勢力はおそらく「支持政党なし」であるはずだ。これは日本の言論あるいは政治的態度姿勢に空白地帯が生まれていることを意味している。この空白地帯には今私が書いた3つのことが関係しているはずだ。

そして制度面ではもう整備ができている。それは組合なのだ。組合と言っても労働運動のための組合ではなくて生協や漁協のような組合だ。

近江商人は今の滋賀県の人たちがやっていたギルドような存在だ。こういう歴史はずいぶん前からあったはずだ。こういうことが日本史上あったわけだから同じようなそして違う位相のギルドがまた日本に生まれることはそんなに不自然なことではない。

田舎住まいなら生協さんは必要になる。配達してもらえるのがなによりありがたい。ただ生協は穏やかな感じだ。でも漁協は荒い感じがあする。

今話題の芸能界は漁協みたいなタッチの組合が向いているような気がする。

そしてこういう組合という形態が世界中で大きな力を持ち始めているのだ。