グレー(灰色)の消滅と発生
これは「感覚的」な話です。
私は今(2017年)に50代なのですが私の「感覚」では日本社会で「グレー(灰色)の存在」がどんどん私には見えなくなってきています。
私は1963年生まれですから60年代にはその動きはもう出ていたはずです。
昔話としてする訳ではないのですが「この人ってどういう人で何やって食べているのか不明な人たち(すなわちグレーな人たち)」がある時期までの日本社会には普通にいたのです。
私は本当に日本語を総ルビにしてほしいのですがずっと名前が読めなかった笠原嘉(かさはらよしみ)先生と加賀乙彦先生の著作に「嫌われるのが怖い」という本があります。アマゾンのリンクを張っておきます。
嫌われるのが怖い―精神医学講義 (1981年) (Lecture books)
- 作者: 笠原嘉,加賀乙彦
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 1981/07
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私はこの本を若い頃にずいぶん読んでいます。この本に書いてある内容は本当に理にかなっているのです。ですが若き日の私にはその理にかなっている風にはどうしても思えなかったので「先生私を説得してください。先生がおっしゃっていることはどう考えても100%正しいのですが私にはどうしてもそう思えないんです」と思ったから何度も読んでいたのです。
結果私はこの本を影響を自覚なく受けているようで「土本さんはその言葉をしょちゅう使っています」といわれてある時に驚いたのをおぼえています。その言葉は「灰色」なのですが。
私の中でもう変化していますがこう一節があったのです。(たぶん当時灰色高官という言葉があったからなのでしょう)
『君たちは現実を見て「白」とか「黒」とかすぐ言いたがるでしょう。でも冷静に現実を見てごらんなさい。現実は「灰色」でしょ。君たちはそもそも「灰色」のものをつかまえて「白」とか「黒」とか思いたがるし言いたがっているんだよ。事実「灰色」でしょ。そもそも「白」でも「黒」でもないよ。「灰色」でしかないものをつかまえて君たが「白」とか「黒」とかつけたがるから君たちは苦しみもするし場合によっては病んでしまうんだよ。そもそも「灰色」でしかないんだから「灰色」だって認めなさい』
私の中でずいぶん変化してしまっているはずので多分元の文章ではこうではありません。
場合によっては「白黒つける必要もあります」。それはそうです。
私の感覚でいうと日本の中のグレー(灰色)がどんどん薄れていくとともに「ブラック(黒)が増えています。
日本の中で普通に違法行為が行われています。女性が体を売るのは日本では明らかに違法であるはずなのですが普通に行われていますしパチンコ店も賭博である訳ですから本来違法でしかないのですが普通に営業しています。
あるいは暴力団なる存在はそもそもどういう風にとらえて良いのかが私にはまったく不明です。
多くの国で反マフィアという動きがあります。暴力団がマフィアなのだとするとある種の国(それもそうとう多くの国々)ではそのひとが何の罪もおかしていなくてもその人は「マフィアなのだ」と認定されただけで無条件に投獄しているはずなのです。
私たちの認知認識が先だったのかもしれません。あるいは「思想」が。
『日本には「白」と「黒」しか存在しない』という思想がある時に日本人にとって自明になってしまった可能性があるのです。
「嫌われるのが怖い」に書いてあるように「これは誤謬でしかない」のです。
それを「白」ととらえても「黒」ととらえてもともに間違えです。
答えは「灰色」なのですから。
ただ物事は極までいって反転するものです。
(これも感覚的な話でしかありませんが)日本国中が「白」と「黒」に分離した瞬間に全部「灰色」になるという(これは本来健康健全な状態です)可能性があります。
「保守」と「リベラル」の訳の分からない対立もそういう読解も可能ですね。