世の中と私

グチです。でも世間のおかしさをいちいちいうと世間にいられないでしょ。

視聴率だけがすべてではない時代 ~ ロングテール

ロングテール

 

これからはデジタルだといわれていた頃にロングテールとよく言われていました。ロングテールとは長いしっぽのことです。

 

デジタルコンテンツは残っていくからです。実際著名人の昔の話がいつまで経ってもネット上にあるのです。書かれている方はイヤだと思うのですが。でもデジタルコンテンツはそうとう長い間残るという性質をもっています。

 

これを紙媒体と比較しているとわかります。

 

(例えば)芸能人がある雑誌のインタビューでの発言を10年後や20年後に問題にするひとはほぼいません。プロインタビューの吉田豪さんはそういうことを問題にしています。でもそれは吉田豪だからそこの話です。

 

でもその雑誌がデジタルでネット上で読める場合は10年前や20年前のインタビューを多くのひとが読めるのです。

 

今(2018年)は大昔の発言も問題になる時代なのです。

 

そして今の発言が10年、20年残っていく時代でもあります。

 

時代の気分の記録としてのテレビ番組

私はコラムニストでもあるのでロングテールの問題点を先取りしてもいました。先輩コラムニストに中野翠さんが最初のコラムの出版について悩んでいたとどこかで読んだのです。

 

正直その時は雑誌に連載していたコラムが本になることに中野さんが悩む理由がわかりませんでした。でも自分がコラムを出版する時にやっぱり悩んだのです。

 

理由は簡単で考えが変わっているからです。

 

でもコラムの出版には「時代の気分」の出版という意味があります。

 

だから日本語としておかしいところは直しても趣旨は直さないで出版しないとコラムをまとめたものを出版する意味がおおはばに薄れるのです。

 

これはテレビにも言えることです。

 

ある時の「時代の気分」を知ろうと思うのならばその時のテレビ放送を見ればいいのです。

 

1995年のオウム真理教地下鉄サリン事件の時の「時代の気分」を知りたいと思うのならその時のテレビを観るのはそうとう良い方法です。

 

それはバブルであっても同様です。

 

その時には生まれていないひとでも「あの時の『気分』はこうだったんだ」ということはそうとうわかるはずです。

 

しつこいのですが私たちにわかるのは「時代の気分」です。

 

「あの発言はああいう『時代の気分』の中でなされたものなんだ」という理解ができるはずです。

 

あるいは「小泉純一郎さんに浮かれていた日本人の気分」もその時のテレビ番組を見るとわかるのです。それは民主党に浮かれていた日本人であっても維新の党に浮かれていた日本人であっても希望の党に浮かれていた日本人であっても同じことです。

 

昭和天皇崩御された時の「自粛の気分(自粛ムード)」もその時のテレビ番組を見ればわかるのです。

 

AV女優を例にしてロングテールを考える

 

AV女優の例にして考えてみるとロングテールの事例を考えてみます。

 

ある女性が軽い気持ちでAVに出演しただけのつもりだったのにいつまでたってもいつまでたっても多くのひとがそのAVを見ている可能性があります。

 

コンテンツが長持ちする時代ですしネット環境を通じて海外のひとも観るかもしれません。 

 

これは彼女にとって好ましいことでしょうか。もちろん一概にそうはいえません。

 

当然イヤな面もあります。「消せない過去」になる可能性があるからです。

 

金銭面のことを考えてみます。

 

ここではわかりやすくするためにセルのDVDだけを問題にします。

 

AV業界は違法アップロードで苦しんでいます。多くのひとが無料で違法アップロードされたAVを無料で観ているので新作AVは売れないしレンタルでも伸びないのです。

 

でもこれは今の時代には当然起きることです。

 

でもあるセルのAVから彼女やAV制作会社が得られる利潤がDVDの販売による利益の他にもありうる状況だととらえることもできるのです。

 

彼女は出演料の他に長い間お金を稼げる可能性もあるのです。しかもとても長期間稼げる可能性もあるのです。

 

ロングテールと視聴率

 

視聴率は当然「その時放送した番組を観た人の数が多いか少ないかを測定するもの」です。

 

テレビ番組が(基本)一回放送して終わりなら視聴率はとても重要です。

 

ですがその番組がデジタルコンテンツにされて観たいひとはネットを介してその番組をいつでも観れる状況があるのなら視聴率の意味や価値は大幅に下がるのです。

 

そういう状況での視聴率はある商品を新製品として売り出した日の売り上げに当たります。それをたとえば定食屋チェーンの新メニューだと考えてみます。

 

ロングテール時代のテレビ番組は20年間30年間あるいはもっと長く観られるのです。

 

コンテンツビジネスはそういう方向に向かっているのです。

 

パレートの法則ロングテールの法則

 

パレートの法則は「20対80の法則」です。

 

その一つに「売り上げの80%は商品の20%が生み出している」というものもあります。

 

ロングテールの法則は無数のほとんど売れない商品群の売り上げの合計がヒット商品の売り上げを上回るという法則です。

 

ロングテールの法則を実現させるにはある前提が必要です。

 

それは「商品を無数(に近く)に店における」というものです。

 

当然実店舗では不可能です。アマゾンはロングテールの法則で成功したといわれています。

 

テレビ番組も雑誌の記事もデジタルコンテンツにしてしまうと(無限ではありませんが)あり得ないほど数多くの番組や記事を(いわば)店内の商品として置くことができるのです。

 

これを本屋さんやCDショップの店内で考えてみましょう。

 

あなたは本屋さんの店主です。その本屋には(仮に)800冊の本と200冊の雑誌が置けると考えてください。

 

当然「売れる本と売れる雑誌」を中心に置くはずです。

 

CDショップでも同様のはずです。「売れるCDと売れるDVD」を中心に置くはずです。

 

この場合に重要なのはパレートの法則です。

 

だけれども異常に広い本屋さんであったらどうでしょうか。そういうことなら基本どういう本でも雑誌でも置くはずです。

 

異常に広いCDショップでもどうようです。

 

こういう状況で成立するのがロングテールの法則なのです。

 

デジタルコンテンツは場所をあまりとらないという理由でロングテールの法則との相性が良いのです。