岡田尊司さんの「統合失調症」という本のある部分を読んで「それはそうなるだろう」と統合失調症である私は思っています。
ある女性患者の例がこの本の中で紹介されているのです。アマゾンのリンクを張っておきます。
具体的には書きませんがあきらかに妄想があった女性の妄想が取れていったそうなのです。ですが彼女はその妄想がほぼなくなるとともに自殺しているのです。
私は勝手にブレーカー理論といっているのですが本人の中で「精神のキャパシティー(容量)では受け入れらないような事柄に出くわすと本人の意志とは無関係に精神のブレーカーが上がってしまう」のです。
結果ある記憶が思い出せなくなったり妄想が発生してしまうのです。
それはなんともいえないところなのですが「同じ事柄に遭遇したとしても原因に妄想が発生する訳ではない」ようです。
ただ事実妄想が取れて自殺した女性がいるということの意味を考えてみましょう。
彼女は「妄想を作り出すことで自分を守っていたのにその妄想がなくなることでもう自分を守ることができなくなって自殺したのだ」と私は考えています。
幻聴も統合失調症の代表的な症状ですし私も幻聴が聞こえていた時期があります。
ただほとんどの幻聴持ちは「この幻聴は事実ではない」と認識しています。
そのひとのことはよく知らないのですがあるひとが「あのひとは自分のことを霊能者が超能力者だと思っているのだけれどもそれはただ幻聴が聞こえているだけで病気なんだというかどうか迷っている」といっていました。
これは妄想であっても同じことです。ほとんどの妄想を持っているひとは「これは事実ではない」ということがわかっています。
しかも妄想の内容は恥ずかしいものですし(たとえ相手が主治医であっても)「自分には妄想があるのだ」ということは言わないのが普通なのです。
妄想はいわばリエスクヘッジとして存在しているのであるから妄想だけを問題にして妄想を取りたいという医師の気持ちはわかりますがそういう行為はとてもリスキーだということは抑えていて欲しいものです。