世の中と私

グチです。でも世間のおかしさをいちいちいうと世間にいられないでしょ。

ドラッカーがいう「スぺシャリトであって同時にジェネラリストであるひと」って例えばこういうことです。

私も含めて多くのひとが一番疲れることは「考えること」です。お金とか手間とかではありません。「考えること一番疲れること」なのです。

 

ドラッカーはこれから必要な人材として「スぺシャリトであって同時にジェネラリストであるひと」と定義しています。

 

スペシャリストはある種「自己完結脳」です。

 

ある仕事を前にして彼(彼女)は考えるのです。

 

「コレってココから初めてコーやってするとコレがコーなるから。違うか。コッチからやるとコレがコーなるからコーするんだ」

 

と仕事を前にして「強力に考える」のです。

 

スペシャリストは有能です。ただ彼や彼女は自分に脳内の思考を動きをひとに伝えることはキホンしません。

 

スペシャリストにとってそれは「無駄なこと」です。

 

たとえば「一回教える」「一回やってみせる」ことで充分だとスペシャリストは考えています。

 

「見て仕事を盗め」というのも基本同じことです。

 

実際私はある店でフレンチトーストの焼き方を覚えたのですが「見て盗んだ」のです。

 

そのフレンチトーストを食べたことはありません。ただおいしそうだったのです。

 

だからママさんがしていたことを家でああでもないこうでもないとやってみて「出来るようになった」のです。

 

私自身スペシャリストでもあるので一頃よく思って(考えて感じて)いました。

 

「頼むからオレを疲れさせないで」と。

 

スペシャリストは「自分が仕事の前にあるいは仕事中に『考えていること』だけで強力に疲れている」のです。

 

だから「見て盗め」と言ってしまいます。

 

一方ジェネラリストの「脳」は違うのです。

 

ある店で店長兼エリアマネージャーをやっていたひとに対してDKのバイト君が「あの店長はパソコン仕事が好きで」と愚痴っていました。

 

そのひとはエリアマネージャーでもあるので「あの店の売り上げがこうで。人件費がこうで。あそこパートさん辞めたし」と必死で考えていたのです。

 

実際その店長の気晴らしは「皿洗い」でした。飲食店のシンクは二つ並んでいることが多いのです。

 

最初のシンクでだいたいの汚れを落として二つ目のシンクで油汚れを取って仕上げるのです。

 

ということは皿洗いは二人でもできます。

 

その店長はMさんと言ったのですがバイト君と「皿洗い競争しよう」と言ってドッチが早いかを競って時々遊んでいたのです。

 

Mさんはジェネラリストの仕事で疲れて「皿洗い競争」をして気晴らしをしていました。

 

落語にある話があります。

 

そのひとは植木職人の親方なのです。

 

そのひとはキセルをくゆらせてボーっと庭をみています。そしていうのです。

 

「私がこうやってると遊んでるとしか思えないでしょ。でも私がこうやっている時が一番働いている時なんです」と。

 

その親方はやはり仕事を前にして「強力に考えている」のです。

 

その親方は「庭の全体像」を当然考えています。「あそこをああすると。それだとあそこでバランスが悪くなるか。じゃあここをこうして。それでもなんかバランス悪いよね。じゃあこうして。そうするとアイツにはこれが任せられるな。アイツの助手には誰が良いのかな」と。

 

日本語で「段取り八分」といいます。

 

ジェネラリストはいわば「段取るひと」です。スペシャリストは「ある仕事をうまくやるひと」なのです。

 

その植木職人の親方は一見遊んでいるようなのですがその親方が現場に入ってこまごましたことをしてはダメです。いわばスポーツチームの監督をしているのですから。

 

スぺシャリトであって同時にジェネラリストというのはいわば「プレイングマネージャー」なのです。

 

ある種の有能なひとは「いざとなったら自分でやる」と思っています。

 

偉すぎて文句がいえないことが問題なのですが森英恵さんは戦略家です。

 

日本人のデザイナーがパリで相手にされないだろうと踏んでいたのです。だからファッションの中では地位が落ちるほかの都市でまずコレクションを成功させてパリに進出しています。

 

さらに「パリの針子さんが私をバカにするようなら自分で縫う」と決めていました。

 

万人にとって共通なものは一つだけでそれは「時間」です。

 

マネージメントが仕事のひとがこまごましたことをしたり口を出したりするのは「時間のムダ」です。

 

「スぺシャリトであって同時にジェネラリストであるひと」はタイムマネジメントがとてもうまいのです。

 

そしてある種の「人間関係方程式」を解くのもうまいのです。

 

あの仕事は「デザイン」なんだけど「デザイナーに任せるとその程度にしか行かないよね。イラストレイターとITの専門家の組み合わせなら面白くなるかな」と考えつくのです。

 

仕事をする時に「チームを組む」のですが「あのひとはアレが得意でこのひとはコレが得意でこれは苦手」という組み合わせを作るのがとてもうまいのです。

 

そして自分もある分野のスペシャリストなのです。

 

ほぼ日刊イトイ新聞が良い例です。